システム設計成功への道、要件定義の次は「基本設計」
初めてのシステム設計・・・成功されられるか不安。
初めてでもそうでない方も、プロジェクトが大きくなればなるほど不安になりますよね。
前回は、システム開発の出発点となる「要件定義」について解説しました。
今回は、要件定義で決まったユーザーの要望を、具体的なシステムの姿へと落とし込む「基本設計」について、より深く掘り下げて解説していきます。
専門用語をわかりやすく、そして具体例を交えながら解説していくので、初心者の方も安心して読み進めてください。
「要件定義」についてまだ読んでいない方はこちらからお読みになることをお勧めします。
システム制作における 要件定義とは? ~成功への鍵を握る最初のステップ~
なぜ基本設計が重要なの?設計図ナシで家を建てられますか?
システム開発は、家を建てることに例えられることがあります。
家を建てる際に、しっかりとした設計図なしに工事を始めるとどうなるでしょうか?
おそらく、部屋の配置がおかしくなったり、必要な設備が足りなかったりと、住み心地が悪くなったり、後から大きな手直しが必要になったりするでしょう。
システム開発も同じです。
基本設計を疎かにすると、開発の後半で「やっぱりこの機能は必要だった」「データの持ち方が悪くてうまく処理できない」といった問題が発生し、手戻りが増えてしまいます。
結果として、開発期間の長期化やコスト増加に繋がることも。
しっかりと基本設計を行うことで、開発の効率化、品質向上、コスト削減を実現し、お客様が本当に求めるシステム開発を成功へと導くことができるのです。
基本設計で具体的に何をする? 7つの設計項目をわかりやすく解説!
基本設計では、システムの全体像を具体的に決定していきます。イメージとしては、システム開発のための設計図を作るようなものです。
具体的には、以下の7つの項目を設計します。
- システム構成設計: システムを動かすための、ハードウェアやソフトウェアの構成を設計します。
例えば、- サーバーは自社で用意するか
- クラウドサービスを利用するか
- データベースは何を使うか
- OSは何を使うかなど
- 機能設計: システムがどんな機能を持つのか、それぞれの機能をどのように実現するかを具体的に設計します。
【例】- 「商品検索機能」ではキーワード検索、カテゴリ検索など、どのような検索方法を用意するか
- 「購入履歴確認機能」では、購入日時、商品名、金額など、どのような情報を表示させるかなど
- データベース設計: システムで扱うデータを、どのように保存し、管理するかを設計します。 データの種類や構造、データ間の関連性を定義します。データベースはシステムの基盤となる重要な部分です。
【例】- 顧客情報を格納するテーブル
- 商品情報を格納するテーブル
- 注文情報を格納するテーブル
これらを設計し、それぞれのテーブルに必要な項目を定義します。
- 画面設計: ユーザーが実際に操作する画面のレイアウトや、操作方法などを設計します。
使いやすさ、見やすさを考慮することが重要です。
例えば、- ログイン画面のデザイン
- 商品一覧画面の表示項目
- ボタンの配置
- エラーメッセージの表示方法
- 入力項目のバリデーションチェックなど
- 帳票設計: システムから出力される請求書や納品書などの帳票のレイアウトや出力項目などを設計します。
例えば、- 請求書のレイアウト、表示項目(請求先、請求金額、振込先など)
- 出力形式(PDF、CSVなど)
- 運用設計: 開発したシステムをどのように運用していくかを設計します。
例えば、- システム監視の方法
- バックアップの取得方法
- 障害発生時の対応
- セキュリティ対策など
- 移行設計: もし既存システムがある場合、そこから新しいシステムへどのようにデータを移行するか、システムの切り替えをどのように行うかを設計します。
例えば、- データ移行のスケジュール
- データのクレンジング方法
- システム切り替え手順
- 旧システムからのデータの互換性をどのように保つかなど
基本設計の手順:現状分析から設計書作成まで、3つのステップで着実に進める
基本設計は、以下の3つのステップで進めていきます。
ステップ1:現状分析
- まずは、現状の業務フローやシステム構成、課題などを分析します。
- 現状を把握することで、新しいシステムで改善すべき点や、注意すべき点が明確になります。
ステップ2:要件定義の確認
- 要件定義で決定した内容を再確認し、基本設計に落とし込めるように詳細化します。
- 必要であれば、要件定義に戻って内容を再検討する必要があります。
ステップ3:設計書の作成
- 上記7つの設計項目について、それぞれ設計書を作成します。
- 設計書には、それぞれの設計内容を具体的に記述していきます。
設計書は誰のため? 開発チーム全員で共有するための重要なコミュニケーションツール!
基本設計で作成する設計書は、開発者や運用担当者など、システム開発に関わるすべての人にとっての共通認識となる重要なドキュメントです。
設計書の内容に基づいて、プログラミングなどの具体的な開発作業が進められます。
わかりやすく、正確な情報が記載されている設計書を作成することで、開発チーム全体での認識齟齬を防ぎ、スムーズな開発を進めることが可能になります。
工程一つ一つを確実にこなしていこう
今回は、システム開発における基本設計の重要性、具体的な設計内容、そして設計書作成までの手順について解説しました。
基本設計は、システム開発の土台となる重要な工程です。
次回は、「詳細設計」について解説します。
この連載記事で設計ポイントを学んで、実行して、プロジェクトを成功させましょう!