ハイテク商品がヒットにつながるか?
キャズムとは、新しい製品やサービスが市場に広く普及する際に、必ずと言っていいほど出現する「深い溝」のことを指します。
キャズムが生まれる背景
新しい製品やサービスは、まず、新しいもの好きでリスクを恐れずに試す「イノベーター」と呼ばれる層に受け入れられます。その後、「アーリーアダプター」と呼ばれる層が、イノベーターたちの意見を参考にしながら製品を評価し、購入します。
以下その購買層を分類した言葉です。
- イノベーター (innovators)
- 新しい技術に強い興味を持ち、機能に関係なく新しいモノを好む。発売前からすら手に入れたいと願う人。
- アーリーアダプター (early adopters)
- 新しい技術に興味があり、発売日に並んででもすぐに取り入れる。
- アーリー・マジョリティー (early majority)
- 機能面や実用面を重視し口コミなどが集まり、良いものとわかればすぐに取り入れる層。
- レート・マジョリティー (late majority)
- 多くの人が使っているから使おうと考える層。
- ラガード (laggards)
- 変化を嫌い、新しいモノを取り入れたがらない層。最後まで批判などを行うのもこの層。
しかし、この「イノベーター」と「アーリーアダプター」の層と、市場の大多数を占める「アーリーマジョリティ」と呼ばれる層の間には、大きな溝が存在します。この溝が、まさに「キャズム」です。
なぜキャズムが生まれるのか?
- ニーズの違い: イノベーターやアーリーアダプターは、新しい技術や機能を求める傾向が強い一方、アーリーマジョリティは、実用性や信頼性を重視します。
- 情報源の違い: イノベーターやアーリーアダプターは、専門的な情報源から製品情報を得る傾向があるのに対し、アーリーマジョリティは、口コミやマスコミの情報から製品情報を得る傾向があります。
- 評価基準の違い: イノベーターやアーリーアダプターは、製品の可能性や未来性を評価する傾向があるのに対し、アーリーマジョリティは、過去の経験や実績に基づいて製品を評価する傾向があります。
キャズムを越えるためには?
キャズムを越えるためには、アーリーマジョリティのニーズに合致した製品やサービスを提供し、彼らが安心して購入できるような環境を整えることが重要です。具体的には、
- 実用的な機能の追加: 新しい機能だけでなく、実用的な機能を充実させる。
- 信頼性の向上: 製品やサービスの品質を高め、信頼性を確保する。
- 口コミの活用: アーリーアダプターの口コミを最大限に活用し、アーリーマジョリティへの影響力を高める。
- マーケティング戦略の変更: イノベーターやアーリーアダプター向けのマーケティングから、アーリーマジョリティ向けのマーケティングにシフトする。
1991年ごろジェフリー・ムーアのハイテクマーケティングについての著書で取り上げられたこの理論は、2000年代、ハイテク企業が多くのサービスをリリースするサービスの中でも何度もキャズムが起こりそれを乗り越えた着て今日のICT技術の普及に至っています。
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