近年、仮想通貨取引などがオンラインで簡単にできるようになり、その関係で海外金融機関の口座情報が米国政府に報告されるFATCAが、日本人でも問われることが多くなってきました。しかし、その仕組みや影響について、まだ詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、FATCAとは何か、対象者となる方、金融機関への影響、そして具体的な対策方法について、わかりやすく解説します。
1. FATCAとは?
FATCAは、Foreign Account Tax Compliance Act の略称で、日本語では「外国口座税務コンプライアンス法」といいます。これは、米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人が、海外の金融機関に口座を持っている場合、その口座の情報を米国政府に報告することを義務づけた米国の法律です。
1.1 目的
FATCAの目的は、米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人が、海外の口座を使って米国の税金を逃れるのを防ぐことです。具体的には、以下のことが期待されています。
- 米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人が、海外の口座を持っていることを隠せなくなる
- 海外の金融機関が、米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人の口座情報を米国政府に報告するようになる
- 米国政府が、海外の口座から得られた所得に対して課税しやすくなる
1.2 対象者
FATCAの対象者は、以下の通りです。
- 米国市民
- 米国籍を持つ人
- 米国グリーンカードを持つ人
- 米国に居住したことのある人(過去に米国に居住していた期間や滞在日数によって条件が異なります)
つまり、日本人にはあまり関係のないものですが、仮想通貨取引や外資系金融機関の口座開設などを行う時にはこの質問をされる場合があります。
1.3 金融機関の対応
FATCAの対象となる金融機関は、米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人の口座を特定し、その口座情報を米国政府に報告する必要があります。具体的には、以下の情報が報告されます。
- 口座名義人
- 生年月日
- 住所
- 口座の種類
- 残高
- 利息などの所得
2. FATCAの影響
FATCAは、米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人に、以下のような影響を与えます。
- 海外の金融機関に口座を開設したり、利用したりする際に、米国籍や米国居住歴に関する情報を申告する必要がある
- 海外の金融機関が、口座情報を米国政府に報告する
- 米国政府が、海外の口座から得られた所得に対して課税する
3. 具体的な対策
FATCAの対象となる可能性がある場合は、以下の点に注意する必要があります。
- 自分がFATCAの対象者かどうかを確認する
- 対象者である場合は、金融機関に米国籍や米国居住歴に関する情報を申告する
- 米国政府から課税される可能性があることを認識しておく
3.1 対象者確認
まず、自分がFATCAの対象者かどうかを確認する必要があります。詳しくは、米国国税庁(IRS)のウェブサイトまたは、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
3.2 情報申告
対象者である場合は、金融機関に米国籍や米国居住歴に関する情報を申告する必要があります。申告には、W-8BENなどのフォームが必要となります。
3.3 課税対策
米国政府から課税される可能性があることを認識しておきましょう。課税を回避するためには、米国での納税義務を適切に履行する必要があります。具体的には、米国で所得税を申告したり、外国所得控除を利用したりする必要があります。
FATCAは、米国籍を持つ人や米国に居住歴のある人にとって重要な法律です。自分にどのような影響があるのかを理解し、適切に対応することが重要です。